やっぱり「社会主義」は性にあわない
東欧見聞録 2 アエロフロートとソ連人
成田から乗り込んだ航空機は、アエロフロート(ソ連の航空会社)だった。うわさには聞いていたが、サービスはまったくひどいものだった。
1.機内の座席は同じエコノミーでも前はゆったりしているが、後ろは間隔が狭くなっていた。座席のうしろの背もたれの部分は、カバーがなく、座席の骨組みが見える状態だった。
2.機内サービスで驚いたのは、飲み物が有料だったことだ。スチュワーデスは、小さな家庭用のワゴンみたいなもので飲み物を運ぶ。そうそう。ちょうど通路に物を落とした私が、それを拾おうとしたとき、他の航空会社より少々屈強そうに見えるスチュワーデスが後ろ向きにワゴンを運んできた。通路側に出ていた私の頭に彼女の大きなお尻が直撃した。それでも彼女は何も言わずに通り過ぎただけだった。頭で女性のお尻を触ったのは、これが初めての経験だった。
3.マナーの悪さにも驚いた。機内の前と後ろにインターフォンがあるのだが、これを使って彼女たちはおしゃべりをしていた。業務連絡ではない。明らかに私語だった。しかも、足を壁を支えるようにして伸ばしてつっぱっていた。こんな行儀の悪いスチュワーデスは、初めてだった。
まぁ、そんなこんなで、なんとか経由地のモスクワ空港までたどりついた。空港の中のレストラン「富士」はもっとひどかった。私が注文したのはビールである。他の人も同じように飲みものを注文したと思うが、なかなか出てこない。ウエイトレスたちはなにやらおしゃべりをしているのである。
10〜15分してからやっと持ってきた。しかも、ボンと350ml缶を置いただけである。たったこれだけのことにこんなに時間をかけるなんて、「浪速っ子」の私には信じられないことだった。大阪では「速い。うまい。安い。」がサービスのモットーだが、ここは遅いだけでなく、値段も高く缶ビールは500円を超えていた。この人たちは、公務員なのだろうが、まったくサービス精神というものがない。アメリカでも無愛想なウエイトレスはたくさん見たが、ここまでひどくない。社会主義の弊害なのだろう。そして、1年後にソ連は見事に崩壊した。
まあ、当たり前なんだろうなと、これらの姿を見て納得できた。社会主義における生産効率はどうなっていたのだろう。いくら計画経済とはいえ、これでは生産ノルマは達成できていないだろう。人間や社会の平等性を求めてきた社会主義の理想は、こんなところでつまずいていたのだと思った。大学時代に少しマルクスをかじった私だが、何か色あせたものを感じた。せっかちな私には社会主義はやはり性のあわないものだろうということをしみじみ感じていた。
