REPORT of 神前カイロプラクティック院

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神前式歩行反射分析論

2008-6-1

身体に於ける歩行反射弓の存在及び反射弓適用による身体捻れ分析方法概論   其のⅠ

太古における地球環境の激変によって多様なる生命の発生とその進化がもたらされたという進化論的立場に立てば 21世紀に入ったこの時点に於いても人類は四足歩行から二足歩行へ更なる進化過程の過渡期途上にあるといえます。 
人類は哺乳動物の最も高度に発達した霊長類の範疇にあって二足歩行形態をとりますが、 神経学的には哺乳動物本来に備わる四足歩行反射機能をベースとした二足歩行四肢反射機能に組み込まれています。 幼時の発育段階に見られる如く まづ最初に寝返りを覚え そして 這いづり歩行から 伝い歩き二足歩行へと 最初の基本的四足歩行から二足歩行へと学習します。 
大脳皮質の発達が未成熟で間脳-中脳-延髄-小脳との脳幹脊髄間反射に制御されている四足歩行哺乳動物に於いては大部分の行動は 前肢後肢間の四肢間反射によって制御されています。 四足歩行の前肢後肢(二足歩行の上肢下肢)は自身の全体幹自重をその前肢(上肢)と後肢(下肢)の四足で支持してます。 各々の四肢からの抗重力反射情報が 各々の情報通路 前肢(上肢)は楔状束路皮質経由 後肢(下肢)は薄束路皮質経由 そして各々が小脳と前庭神経核複合体においての皮質脊髄間反射による求心性情報と遠心性情報に於けるフィードバック回路で制御されています。 
四足歩行から二足歩行への進化過程においては 前肢による補足的体幹負荷支持に対しての抗重力反射情報が 四肢間反射をより制御する過程にあります。 そして二足歩行への進化過程での上肢発現に於いては 体幹を補足的に支持する抗重力反射情報以上に 上肢自体の重さを支持するが為の抗張力反射情報と 体幹軸線のバランス維持のため 上肢の自重と小脳-三半規管前庭神経核複合体とのフィードバック回路情報がより体幹への支配的要因となります。 更に 無意識下の歩行反射弓から 意識上に上がってくる皮質経由随意的行動を担う上肢への知覚系運動系の相互神経支配の圧倒的進化に対しての抗応力反射情報神経回路の進化が 新たにより重要な体幹支配要因として機能しだします。 
しかしすべての体幹筋の無意識下での統合的制御は 二足歩行へと進化する以前の四足歩行時代と変わらず脳幹-小脳-脊髄に於ける四肢間反射機能でもって制御されています。 言い換えれば人類の二足歩行への発達進化過程の中で身体の全ての筋肉は、四肢間屈曲伸展反射機能という神経学的制御定理に基づいて筋骨格系の発達が起こっています。 しかし霊長類のチンパンジーに於いても利き腕の発現が既に見られます様に、人体に於けるこの利き腕そして軸足の発現とその優位支配が身体の歪を生む最大の原因となってしまいます。 なぜなら利き腕軸足の形成は、それらを支持する右乃至左の筋骨格系および其の意識上にのぼる皮質下神経支配系統の優位性と それに呼応する無意識下神経支配系統の四肢反射機能の差異そのものにあるからです。 
幼少期より種々の運動を通して無意識下の神経制御=四肢歩行反射機能の基に発達していく身体は、この利き腕という意識支配の神経回路が無意識下での四肢反射神経回路よりもより回路的優位性を持ち出した時、四肢反射回路に混乱を引き起し筋骨格系に対してアンバランスな神経統御となり骨盤脊柱線の歪と共に腰痛などの様々な症状を誘発させます。 
哺乳動物の正常な四肢反射弓がどの様なメカニズムに基づいて発現するのかは未だ解明されて無く、中枢神経に於けるCentral Pattern Generator とでも呼べる機構に基づくと考えられています。正常な反射弓とは次のような四肢間屈曲伸展反射を示します。
片側前肢/上肢からの身体への四肢反射は         
片側の前肢/上肢屈曲は  同側の後肢/下肢の伸展優位を促通し  対側の前肢/上肢の伸展優位を促通と 対側の後肢/下肢屈曲優位を促通  
対側の前肢/上肢伸展は  同側の後肢/下肢の屈曲優位を促通し  対側の前肢/上肢の屈曲優位を促通と 対側の後肢/下肢伸展優位を促通
片側後肢/下肢からの身体への四肢反射は      
片側の後肢/下肢屈曲は  同側の前肢/上肢の伸展優位を促通し  対側の後肢/下肢の伸展優位を促通と 対側の前肢/上肢屈曲優位を促通  
対側の後肢/下肢伸展は  同側の前肢/上肢の屈曲優位を促通し  対側の後肢/下肢の屈曲優位を促通と 対側の前肢/上肢伸展優位を促通

上記のように片側の主動筋乃至拮抗筋に十分強い刺激を加えると、同肢の屈曲反射(伸展反射)と同側肢の伸展反射(屈曲反射)に加えて脊髄節を飛び越えて、対側肢に逆のパターンの伸展反射(屈曲反射)との屈曲反射(伸展反射)を引き起こす無意識下神経支配統御を定理とします。対側間に見られる反射は、疼痛逃避反射に見られる四肢引っ込め屈曲反射を構成する基である相反性神経支配と交差性伸展屈曲反射を通しておこります。
しかし上肢下肢共に同側に於いて利き腕軸足支配が優勢となった場合には、無意識下四肢反射弓回路を意識下利き腕神経支配回路が優先しだし、次の様な四肢歩行反射弓の乱れが出現します。患者にその場での足踏みを促した場合、利き腕側の上肢下肢同時屈曲そして対側上肢下肢同時伸展そして其の逆パターンの繰り返しという歩行パターンを示し、片側に於いて上肢と下肢間の屈曲伸展そして対側に於ける逆パターン伸展屈曲と言う正常な四肢反射歩行が出来ません。 
この様な上肢下肢間同時屈曲[同時伸展]対側同時伸展[同時屈曲]パターンに陥った場合の筋骨格系への影響は、幼児期からの筋骨格系のシンメトリーな発達が四肢歩行反射弓の植え込みと形成に基づいていますので、この反射弓の混乱は身体の抗重力線を維持する筋骨格系に多大なる余分な負荷をかけ、筋質代謝不全による筋硬直と末梢神経系の障害を引き起こします。 反射弓混乱の急性慢性期間の程度により抗重力線を維持する筋骨格系のアンバランスは、脊柱線の歪程度と相関関係にあって更なる種々の問題を引き起こす結果となります。 
人体の無意識下での四肢間反射制御は 各肢からの抗重力反射情報が皮質感覚野―脳幹―小脳―前庭神経核複合体-前庭動眼反射弓-上丘視蓋を通してフィィードバックされますが、 脊髄運動神経核への遠心性支配に対し 各肢の末梢神経核よりの求心性反射情報が 同じ情報質量として各肢から脳幹へ伝達されていれば上記のような体幹片側の同時屈曲同時伸展という現象は引き起こされないのです。 すなわち 身体の随意的筋肉運動は 常に無意識下の求心性反射情報に連動支配されている事 そして上肢下肢のそれぞれの筋トーヌスの誤差量が求心性反射情報の質量を規定し 大脳皮質からの随意筋運動支配能力を規定しています。
神経学的に換言すれば、皮質から筋肉への指令が100%下行性伝導路を通して出されたと仮定した場合 皮質の目標筋肉に直接的に連絡する錘体路系の外側及び前皮質脊髄路経由の情報量は 皮質下で出された100%のうちのおよそ40%ほどのみが 随意的筋肉指令として作動し、 残りの60%は 無意識下で作動する垂体外路系の 視蓋―赤核―前庭―網様体脊髄路経路として各種感覚のフィードバック反射情報を統合する作動筋として機能します。 それゆえストレッチ運動等に見られる様に 反射情報を意図的に変化させることで 皮質下で同じ量の筋収縮作動指令が出されても 筋トーヌス自体が大きく変化する事になります。