プラスチックと環境の問題がクローズアップされて久しいですが、最近特に新聞紙上で、包装材のリサイクル、地球温暖化、ダイオキシンなどに関する記事が目立つようになり、そのたびにプラスチックの悪い面ばかりに焦点が当てられ、包装材がいっそう悪者になる傾向があるように思われます。もしプラスチックがなくなれば、あらゆる工業・流通が成り立たないといっても過言ではありません。経済の発展、快適で便利な生活に大きく貢献していることも強調しておく必要があります。ここでは、プラスチックと環境に関する理解を深めるため、基礎的な知識を質問形式でまとめました。
Q1:プラスチックは何からつくるのですか。
A:プラスチックのほとんどは石油から作られますが、一部天然ガスも利用しています。原油からガソリン、灯油、ナフサ、軽油、重油などに加熱分解され、さらにナフサから、エチレン、プロピレン、スチレン等のモノマーを分離精製あるいは化学反応を利用して製造します。これらのモノマーは常温でガス状または液状ですが、触媒等を添加して高圧や熱をかけると分子が長くつながったポリマーになります。プラスチックという言葉は可塑性(plasticity)をもつものという意味のギリシャ語からきています。なお、セロハン(パルプが原料)やアルミ箔(軽金属)はプラスチックではありません。
(エチレンモノマー) (ポリエチレン)
H H H H H H
H
| | 重合 | | | | |
C=C → ・・・−C−C−C−C−C−・・・
| | | | | | |
H H H H H H
H
Q2:プラスチックの種類にはどんなものがありますか。
A:工業用途、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、熱硬化性樹脂も含めると種類は非常に多くなりますが、包装用途としての主要なものは次の通りです。
・ポリエチレン(HDPE、LLDPE、EVA等)
ポリエチレン袋、ごみ袋、ポリ容器、その他ラミネート用等。柔軟性、耐衝撃性、シール性に優れています。
・ポリプロピレン(PP)
OPP、CPP、耐熱成型容器等。耐熱性、防湿性に優れています。
・ポリスチレン(PS、発泡PS)
カップ麺容器、トレイ、成型容器等。バリヤー性、耐衝撃性に劣り、フイルムとしてはあまり使用されません。
・ポリ塩化ビニル(軟質、硬質PVC)
業務用ラップフイルム、シート、成型容器、トレイ、その他工業用途、家庭用品に多数使用。強度、バリヤー性に特徴がなく、熱シールもしにくいので ラミネート用フイルムとしてはほとんど使用されません。
・ポリエステル(PET、ポリエチレンテレフタレート)
ペットボトル、包装用フイルムなど。強度、耐熱、耐寒性に優れます。工業的にも繊維、磁気テープ、絶縁材等に多数使用されています。
・ナイロン(Ny、ポリアミド---PA)
ONやCNなどの包装フイルム、ロープ、繊維。強度、耐寒性、耐衝撃性、耐ピンホール性に特徴があります。
・ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
家庭用ラップフイルム、Kコートフイルムのコーティング剤などに使用されています。バリヤー性に優れます。
・ビニロン系(PVA、EVOH)
プラスチックフイルム中最高のガスバリヤー性を持ち、ガス充填包装などに使用されています。
このうち、最初の4種類は四大プラスチックと呼ばれ、容器包装、工業用などに多く生産されています。
Q3:プラスチックは屋外に放置するとどうなりますか。
A:プラスチックは屋外放置で太陽光線にさらしておくと、長い分子が切れてぼろぼろになります。特にポリプロピレン(OPP,CPP)は、プラスチックの中でも耐候性(耐光性)に劣り、1年ぐらい経つと手で揉んだだけで粉々になるくらい劣化します。ポリエチレンもポリプロピレンほどではありませんが、やはり劣化します。しかし、ポリエステルは1年後でもほとんど変化がなく、耐候性に優れています。このように、耐候性はプラスチックの種類によって異なります。
Q4:プラスチックは埋め立てるとどうなりますか。
A:プラスチックは光や熱(300〜400℃)で劣化しますが、埋め立てた場合、熱もかからず、光にもさらされないので急速に劣化することはないはずです。プラスチックの歴史が短いのでデータはありませんが、少なくとも半永久的にそのまま残ると思われます。
Q5:生分解性プラスチックとは何ですか。
A:野山などに散乱したプラスチックごみが紙・木材のように比較的短期間で土に戻れば環境や美観に大きな支障はないという考えがあります。放置された、あるいは、土中に埋められたプラスチックが、自然分解し、最終的には二酸化炭素と水になって、消滅するように工夫されたものが分解性プラスチックで、光で分解する光分解性と、微生物などの作用によって分解する生分解性があります。現在は生分解性プラスチックが未来のプラスチックとして有望視され、すでにいくつか実用化されています。しかし、価格的に10倍くらい高価である、性能的に劣る、中間生成物の安全性が不明等、本格使用には多くの課題があります。
Q6:プラスチックは燃やすとどうなりますか。また、環境に対する影響はありますか。
A:ほとんどの包装用プラスチックはよく燃え、PE、PP、PETなどは有害物質も悪臭も出しません。最終的には二酸化炭素(炭酸ガス)と水になります。しかし、PSは黒いススを大量に発生します。PVCとPVDCは刺激のある塩化水素ガスを出し、黒煙を出して燃えますが、自燃性がなく、炎から取り出すと自己消火します。
プラスチックの燃焼による環境への影響として、高熱のため焼却炉を傷める、PVCとPVDCは塩化水素ガスを発生するので炉を傷めたり酸性雨の原因になる、二酸化炭素を発生するので地球温暖化を促進するなどが指摘されています。
次表に各種材料の燃焼カロリーを示しました。一般の都市ゴミに比べてプラスチックの発熱量が高くなっていますが、近代的な都市ゴミ焼却炉は、高発熱による炉壁破損に対応しており、逆に、適当量のプラスチックが混入したほうが、よく燃え、助燃のための灯油や重油の使用量を減らすことができます。
 
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