はじめに
透明バリヤーフイルムといえば、防湿性、ガス遮断性ともに優れたKOP,KPET,KONなどのK(PVDC、ポリ塩化ビニリデン)コートフイルムが代表的であった。ところが、ダイオキシンや環境ホルモンなどによる環境汚染の問題が表面化し、燃焼させても塩素ガスやダイオキシンを発生しないフイルムが求められるようになった。そこでKPETは透明蒸着PETに、KONはバリヤーナイロンに代替されつつある。しかしKOPについては代わりをするような適当なフイルムがないために置換はほとんど進んでいなかった。ここにきて、各社からKOPの代替可能なバリヤーOPPフイルムが開発されてきたので、これら新フイルムについて紹介する。
PVA(ビニロン)系樹脂コートのOPP
KOPのKコートのかわりに、PVA(ビニロン)系樹脂をコートしたOPPフイルムである。PVAは乾燥状態でのガスバリヤー性は最高のクラスにあるが、高湿度では急激にガスバリヤー性が低下するのが大きな欠点である。
東セロのAOPフイルム
(構成)
高防湿OPPの片面にPVAをコート #20
(バリヤー性)
酸素透過度 1.3cc/u・day.atm(50%RH) 20℃
25.0cc/u・day.atm(80%RH)
透湿度 3.5g/u・day
(特徴)
・低湿度でガスバリヤー性に優れている。
・香気保存性がよい。
・防湿性はKOP並で、優れている。
(欠点)
・KOPより耐衝撃性に劣る。
・高湿度でのラミネート強度がでにくい。
・熱で縮みやすいので製袋時波打が起こりやすい。
・高湿度でガスバリヤー性の低下が大きい。
PVAコートOPPであるが、PP樹脂として高防湿OPPを使用しているため、防湿性もKOPにひけはとらない。しかし、低湿度では優れたガスバリヤー性を示すが、高湿度では急激にガスバリヤー性が低下するため、水分活性の高い食品では高度のガスバリヤー性が保持できない。つまり、乾燥食品にしかバリヤー性能を発揮できないので、用途は必然的に限られたものになる。
(用途)
推 奨:乾燥食品、米菓、ナッツ、スナック菓子、ビスケット、油菓子など、 AWが0.4以下の食品
使 用
可:ほたて貝柱、凍豆腐麩(車麩)、キャラメル、ゆば、ミルクチョコレ ートなど、AWが0.5〜0.6の食品
使用不可:かまぼこ、プロセスチーズ、ハム・ソーセージ、かつお削り節、パル メザンチーズ、ビーフジャーキー、さきいかなど、AWが0.7以上 の食品
ダイセルのXOPフイルム
(構成)OPPにPVA系樹脂コート #20
(バリヤー性)
酸素透過度 1cc/u・day.atm(20%RH)
2cc/u・day.atm(40%RH)
5cc/u・day.atm(60%RH)
20cc/u・day.atm(75%RH)
透湿度 4g/u・day
(特徴)
・印刷適正が良好である。
・ラミネート強度がでやすいので強度が安定する。
・低湿度でのガスバリヤー性が優れている。
・香気保存性もよい。
・カールするが、PVAコート品よりも少ない。
(欠点)
・高湿度でガスバリヤー性が低下する。
(用途)
基本的にはAOPと同じで、乾燥食品、米菓、ナッツ、スナック菓子、ビスケット、油菓子などの包装に適している。高湿度でのラミネート強度があるので、シール強度、耐衝撃性が安定している。
バリヤー樹脂サンドのOPP共押フイルム
PPとPPの間にバリヤー材を共押出し、延伸したもので、湿度の影響を受けにくい特徴がある。
二村化学のECOフイルム
(構成)
OPP/EVOH/OPP
(バリヤー性)
4品種あり、各品種とも#20,#25,#30あり
| バリヤー性 |
湿度 |
ECO-B |
ECO-B2 |
ECO-BQ |
ECO-BQ2 |
酸素透過度
cc/u.day.atm.20℃ |
50%RH
80%RH |
6.0
12.0 |
4.0
7.9 |
6.0
11.0 |
3.5
6.0 |
| 透湿度g/u・day |
90%RH |
9.0 |
7.4 |
4.4 |
5.0 |
(特徴)
バリヤー層がOPPにサンドイッチされており、内容商品の水分活性に左右されにくい。
(欠点)
品種によって透明性が違い、また、バラツキもみられる。
(用途)
湿度80%RHでも高バリヤー性を持つため、カステラなどの半生菓子、ハム・ソーセージなどにも使用できるのが前2者との大きな違いである。
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比較用として汎用KOPのバリヤー性を示す。
KOP(PVDCコートOPP)
(構成)OPPにPVDCコート #20,#25,#30
(バリヤー性)#20
酸素透過度 8〜10cc/u・day.atm.20℃
透湿度 4〜5g/u・day
評 価
防湿性を重視するならAOP、強度の安定性ならXOP、半生菓子にも使用できるECOフイルムという評価ができる。また、これらのほかにベース基材を選ばないバリヤー樹脂共押サンドシーラント、透明蒸着OPPなどもあるが、まだ実績が少ない。バリヤー性シーラントは厚みが限定されることや、耐衝撃性、シール性に不安がある。透明蒸着については加工方法や使用条件によるバリヤー性のバラツキが考えられる。
このようにKOPに替わる新バリヤー材は一長一短で、汎用性、安定性、実績、経済性ではまだまだKOPに勝るものはないというのが現状である。小売店ではKコートフイルム以外の塩素含有品(家庭用ラップフイルム、塩ビ容器、塩ビ製雑貨品など)があふれているにも関わらず、Kコート包装材が非難されていること、このために余分なエネルギーが消費されること、さらに、消費者の経済的負担も増える可能性があることなどが気にかかる。また、完全燃焼させれば塩素が含まれていてもダイオキシンは発生しないのである。
(注意)
各社の資料を参考に記述した。各メーカーのスペック表は測定の一例で、規格値ではない。
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