ビニロンの概要
数多くあるプラスチックの中で、世界に先がけ、日本で初めて工業化(1950年
潟Nラレ)されたのが、合成繊維としても有名なビニロン(ポリビニルアルコール、ポバール、PVA)である。 「ボブロン」フイルム(二軸延伸ビニロン、O−PVA)の性能と用途
図1.ビニロン樹脂の分子構造
「ボブロン」は日本合成化学工業鰍ェ、1981年、世界で初めてビニロンを逐次二軸延伸し、商品として上市したフイルムの商品名である。 ・香気保存性がよいので、防湿性素材と組み合わせて日本茶、フィルター付レギュラーコーヒーパックなど、香りが生命の商品に適している。 ・耐薬品性、耐油性がよい。溶剤や石油系物質の透過、吸着が少ないので鉱物油、油性食品の包装に用いられる。 ・表面光沢および透明性がよい。特にO−PVA/CPPの二層構成では抜群の透明性になる。 ・静電気が発生しにくい。ほこりが吸着しないので袋表面に傷が付きにくく、長期間陳列しても商品価値が低下しにくい。 ・燃焼カロリーが低く、塩素を含んでいないので、環境に対する負荷が小さい。 表1.ボブロンのガス透過性※
しかし、PVAの最大の欠点は耐水性、防湿性に劣ることである。湿度80%RH以上ではガスバリヤー性の低下に注意が必要である。水物やボイル用途には適さない。
「エバール」フイルム(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、EVOH)の種類と用途
図2.EVOH樹脂の分子構造 EVOH樹脂は、ビニルアルコールとエチレンを共重合し、ビニロン樹脂の耐水性、耐湿性、接着性、加工性などを改良したものである。性質はPVAとほとんど重なるが、90%RH以上の湿度ではPVAフイルムよりガス遮断性がよく、包装用バリヤー材としてはPVAフイルムより一般的である。 潟Nラレの商品名「エバール(EVAL)」は、EVOHフイルムを世界で最初に企業化(1972年)したもので、削り節ミニパックにOPP/EVOH/PEという構成で使用され、ハイバリヤー材として一気に主役になった。エチレンの重合比率や延伸の有無などで、いくつかの用途・銘柄に分かれている (表2)。 表2.クラレ・エバールフイルムの銘柄
EF−XL EF−Fを二軸延伸したもので、ガスバリヤー性がさらに向上し、引裂性(開封性)も改善される。 けずり節などハイガスバリヤー性を要求する包装に利用している。
図3.エバールフイルムの酸素ガス透過度※
EF−F EF−E EF−HS EF−CR HF−M VM−XL EVOH系共押出しフイルム共押出しフイルムというのは異種の樹脂を平行した2つ以上のスリットから共に押出し、製膜すると同時にラミネートまでされているというものである。単体ではフイルム状にできないような数μという薄いものでも最大5〜7層まで積層可能なので、いろいろな性能・用途のフイルムがつくられている。下にナイロン−EVOH系フイルムの構成を示した。ナイロンとEVOHは接着性樹脂(アドマー)がなくても積層は可能であるが、EVOHとPEやPPとは接着性樹脂層が必要である。EVOHでガスバリヤー性をもたせ、ナイロン層で強度や耐ピンホール性を付与している。ナイロン/(接着性樹脂 )/EVOH/接着性樹脂/LLDPE 表3に主なEVOH系共押出しフイルムの例と用途を示した。
表3.EVOH系共押出しフイルムの構成例
ビニロン系フイルムの今後ビニロン樹脂は、他の樹脂にはない多くの特徴を持っているので、水溶性樹脂、感光性樹脂、ゴム資材、接着剤、アスベスト代替、セメント補強剤など、多くの機能性材料として一般用途、工業用途に需要が伸びている。包装用としても、延伸フイルムでは透明蒸着フイルムにとってかわられることも多いかもしれないが、深絞り用途ではEVOH樹脂に勝るものはなく、バリヤー性共押出用樹脂として今後も伸び続けると予想されている。また、OPPにPVAコートしたフイルムもKOP代替として需要を伸ばしている。さらに、ビニロンに透明蒸着をし、ガス透過度、透湿度ともに0.1cc/u・24hrs.atm.、0.1g/u・dayという超ハイバリヤーフイルムが実際に包装用として使用されている。安定した高度なガス充填包装を設計するなら、まずはビニロン系フイルムを検討すべきであり、今後もガス遮断包装には欠かせない存在である。※ガス透過度の単位について 1cc/u・24hrs.atm.=9.87ml/u・day/MPa または 1cc/u・24hrs.atm.=5fmol/u・s・Pa 参考文献:「ボブロン」および 「エバール」のカタログ・技術資料 |
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